監督:ヘンリー=ハサウェイ
出演:マット=マスターズ(ジョン=ウェイン)、トニ(クラウディア=カルディナーレ)、リリー(リタ=ヘイワース)、スティーブ(ジョン=スミス)、キャップ(ロイド=ノーラン)、アルド(リチャード=コンテ)、エミール=シューマン(アンリ=ダンテス)、シューマンの妻(ワンダ=ロサ)、ほか
音楽:ディミトリ=ティオムキン
アメリカ、1964年
ジョン=ウェインの映画では珍しいサーカス物。しかも三角関係(ただし過去)までやっちゃったというかなり変わった話なので、ジョン=ウェインの映画ではけっこうマイナーな方ではないかと思います。
あと舞台の説明がまったくないので、映画の情報サイトで見て、初めて19世紀の話だとわかったけど、大して重要なことではありません。19世紀じゃなくても話、通じるし。まあ、世界大戦がまったく出てこずに西ヨーロッパ中を巡業しているので、いつの時代かなぁと思ったけど、時代性は大筋に絡んでこないので全然オッケーでした。
アメリカでサーカス団を持つマット=マスターズはヨーロッパ巡業を決心し、船でスペインに渡るが、着く早々、事故が起きてサーカスの興行に必要な道具を失ってしまい、サーカス団の解散という危機に陥る。マットの元に残ったのは親友のキャップ、養女トニ、それにマットの後継ぎになろうとしていたスティーブだけだ。しかしマットはサーカス団再建を諦めず、3流の興行師と組んで力を蓄え、仲間も見つけようとする。その裏には、14年前に失踪したトニの母リリーを探したいという思惑もあった。リリーは夫のアルフレッドが事故死したのをきっかけに、4歳のトニを置いて、いなくなってしまったのだ。パリからベルリンへ、マットたちの旅は続く。そこでマットはアルフレッドの弟アルドと再会、彼と組むバレリーナのジョバンナをともに雇う。さらに猛獣使いのシューマン夫婦と出会ったサーカスで、かつての仲間と再会したマットはリリーがハンブルクにいるという情報を得る。その後、ハンブルクに赴いたマットは、リリーの下宿を突き止めるが、彼女はそこにおらず、寒々とした部屋からリリーの現在の境遇を慮ってマットはやりきれない気持ちになるのだった。だがリリーはマットのウェスタン・サーカスの興行を見に来た。成長し、一人前の曲芸師になりつつあるトニを見に来ずにはいられなかったのだ。サーカス団に戻るように言うマットの頼みを一度は断ったリリーだったが、やがて戻って来たが、偽名を使ってであった。母とは気づかぬトニは優れた曲芸師であるリリーを慕うようになる。だが、いよいよサーカス団が興行を再開しようとするその日、トニはリリーが母親であり、父のアルフレッドが自殺したこと、その原因がリリーがマットと愛し合ってしまったことを知ってしまう。サーカス団を出ていこうとするトニだったが、その時、テントに不審火が起こる。マットの指揮のもと、団員たちは火事を消し止めようとし、リリーもテントを守ろうと自らの軽業を生かして危険な場所に赴く。その姿を見て、トニはリリーへのわだかまりが解消するのだった。テントの半分を守り切ったことで、興行は無事に行われた。リリーとトニの母娘による軽業は演目の最後に置かれ、皆は拍手喝采でその偉業を讃えるのだった。
ということで、えらく長く粗筋を書いてしまいましたが、ジョン=ウェイン物にしてはとても複雑な展開だったのです(失礼)。
まずマットのサーカス団に起きる事故が2度。
さらに養女のトニとスティーブの恋愛。
マットとリリー、そしてリリーの夫アルフレッドの死。
こうして見ると、それほど複雑な話ではないのですが、ジョン=ウェインの映画だとジョン=ウェインという大黒柱があって、そこを中心に話が進むので… ちょっと先が読めない展開だったという…
終わってみれば、みんな、収まるところに収まって、めでたしめでたしなのは、この時代のハリウッドのお約束。
「
山猫」「
ウェスタン」「
家族の灯り」「ブーベの恋人」など、イタリアを代表する女優であるクラウディア=カルディナーレさんが、「山猫」と同年の作でありながら、可愛らしいトニを好演、「山猫」では野性的なアンジェリカを演じ分けちゃうあたり、女は化けるぜv
そして、トニの恋人スティーブを演じたジョン=スミス氏は「ナバロンの要塞(主演:グレゴリー=ペック)」や「紅の翼(主演:ジョン=ウェイン)」にも出演されてるそうで、大人な男性で、それなりの野心家で、でもいい人を好演。
ジョン=ウェインは安定していたけど、不倫していても後ろ向きじゃなくて堂々としているあたりがいつものところでした。
作中、マットが興行するウェスタン・ショーにネイティブの扮装した人が出ていたのは時代だからしょうがないんですが、やっぱり見ていて辛かったです。
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