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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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百日紅

杉浦日向子著。杉浦日向子全集。筑摩書房刊。全2巻。

去年だったか、この話を原作にしたアニメが公開されましたが
・キャラデザが元の杉浦さんの雰囲気と全然違っていた(と思ったけど主人公の栄だけ違う感じであとはそれなりだった。ただ栄の乖離っぷりが酷かった)
・声が声優ではなく俳優やアイドルを使うようなジブリ調で好かぬ
・主題歌が椎名林檎
という3点が気に入らなくて観に行きませんでした。特に3番目が超重要。椎名林檎は2014年のワールドカップでの「NIPPON」というくそったれな曲で大嫌いな歌手になったので絶対に行きません。

で、原作です。

葛飾北斎とその娘、お栄、居候の池田善次郎を中心に第11代将軍治世の江戸の浮世絵師らの生活などを綴る。

ちょっと変人の北斎とかその弟子やライバルである歌川門下とかの交流がおもしろかったです。

そういや、杉浦さんてずいぶん前に亡くなったよなぁと思ってぐぐったら、2005年に亡くなってましたね。江戸風俗に定評があって、下手な時代劇見るよりも江戸情緒が味わえると思います。

他の作品も読んでみたいのぅ。

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ミッドナイト

手塚治虫著。少年チャンピオンコミックス刊。全6巻。

もぐりのタクシー・ドライバー、通称ミッドナイトが夜の様々な出来事をのぞく短編集。一応、根底にミッドナイトが過去に不良少年で、自分の運転で彼女を意識不明の重体に陥らせ、その治療費を稼ぐためにタクシー・ドライバーをやっているという設定がありますが、そういう話は「ブラック・ジャック」でもそうでしたが、たまに出てくるだけであんまり進展してません。

というか、最後、ミッドナイトが事故かなんかで重傷を負って、彼女も脳死しちゃって、ブラックジャック先生が脳を入れ替える手術を行って、以後、ミッドナイトは女性として生きる羽目になったというエンディングではなかったんですが、どこで見たんだおれ…

ブラックジャック先生も登場するので今だとさしずめスピンオフって感じです。

ミッドナイトの愛車が「ナイトライダー」も真っ青な改造をしてあって、わりと何でもありな感じと、もろにホラーな話も多く、間違いなくおもしろいんだけど、手塚治虫の一本でどれをチョイスと言われたら、たぶん、これはヒットしないだろうなぁと思いました。

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グレン・ミラー物語

監督:アンソニー=マン
音楽:ヘンリー=マンシーニ、グレン=ミラー
出演:グレン=ミラー(ジェームズ=スチュアート)、ヘレン(ジューン=アリスン)、チャミー(ハリー=モーガン)、ドン(チャールズ=ドレイク)、シュリブマン(ジョージ=トビアス)、ルイ=アームストロング、ベン=ポラック、ほか
見たところ:シネプレックス平塚
アメリカ、1954年

「茶色の小瓶」や「ムーンライト・セレナーデ」などでおなじみのグレン=ミラーの生涯を描く。

午前十時の映画祭でかかってたんで行ってきましたが、去年はほとんど見逃してて、何よりも「さらば友よ」と「カサブランカ」をスクリーンで観たかった! 「エデンの東」とか「シェルブールの雨傘」とか「メリー・ポピンズ」とか観たことないのもあったし、「風と共に去りぬ」と「ひまわり」を見逃してショック大です… orz

今年も2月にラインナップが発表されるそうなので観れるだけ観たいものですが…

閑話休題。

「グレン・ミラー物語」は貧しい音楽青年だったグレンがやがてビッグバンドにのし上がっていき、第2次世界大戦で行方不明になるまでを描きます。すっかり売れっ子になっても庶民的なイメージの強いジェームズ=スチュアート氏のキャラで、全然嫌みがありません。奥さんのジューン=アリスンさんも夫婦役では3度の共演だそうで、そう考えるとジョン=ウェインとモーリン=オハラさんの5度というのは破格の多さだったのかもとか思いを巡らすのも悪くありません。

おなじみの曲に加えて、ルイ=アームストロングやベン=ポラックといったミュージシャンが当人役で出演されているのも嬉しい限り。

旧き良き時代のハリウッドという感じが満載の映画でした。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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真珠のボタン

監督:パトリシオ=グスマン
見たところ:川崎市アートセンター・アルテリオ・シネマ
フランス、チリ、スペイン、2015年

光のノスタルジア」の続編です。南北に4200kmの長い海岸線を持つチリ。「光のノスタルジア」では北部のアタカマ砂漠が主な舞台でしたが、今作では南部のパタゴニアと呼ばれる群島が舞台となります。イメージは水です。

アタカマ砂漠で発見された水晶の原石の中に閉じ込められた水から、イメージは奔放に広がり、宇宙へ。水蒸気や氷といった形で存在する宇宙の水の話から、また地球に戻り、水に生きたインディオたち、チリ南部のパタゴニアに生きていた水の原住民たちの話に移ります。さらにただ一人、歴史に名を残したというインディオ、ジェミー・ボタンの話は、白人たちの興味本位や欲により、全てを奪われていくインディオたちの話から、同じように命を奪われたたった30年前の出来事、ピノチェト政権の弾圧へと移っていきます。前作「光のノスタルジア」では砂漠にうち捨てられた人びとの話でしたが、自らの犯罪を隠そうとしたピノチェト政権は、犠牲者たちを海に捨てたともいうのです。その遺体が二度と浮かび上がってこないようにワイヤーでレールを縛りつけ、海に放り出したという話は、海の底から引き上げられた錆び付いたレールについていたボタンによって、真珠のボタンで白人に買われたジェミー・ボタンの話と繋がることで、チリの人びとが同じように目を背けてはいけないこととして提示されていくのです。

先にこちらを観たせいか、こちらの方が好きです。ただ、全部通して観ると、「光のノスタルジア」の砂漠から「真珠のボタン」の海へとイメージは繋がっており、やはり2作通して観るのがお薦めです。

何といっても過去の忌まわしい出来事から目を背けないという監督の姿勢がとてもいいです。それは19世紀のインディオたちへの虐待であり、20世紀のピノチェト政権の弾圧であり、最後の方で語られる「誰しも歴史から無辜であることはできない。観客である私たちも例外ではない」という言葉とともに、日本人であるわしらにも跳ね返ってくるわけです。

一見、わしらには無関係なようなチリの映画を観た時、それが無関係なものではないどころか、まるきり自分たちの国の姿を写しているとわかる。声高に責めるのではなく、そうと気づかせる。傑作ドキュメンタリー映画だと思いました。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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光のノスタルジア

監督:パトリシオ=グスマン
見たところ:川崎市アートセンター・アルテリオ・シネマ
フランス、ドイツ、チリ、2010年

チリのドキュメンタリー映画監督パトリシオ=グスマンさんの映画が2本かかるというので行ってきました。天文学だけだったら、わしの琴線には触れもしないんですがピノチェト時代のことも扱ったドキュメンタリーで2部作だというんで、ちょっと頑張って観てきました。1週間限定の公開で「真珠のボタン」と交替でかかっているのですが、こちらの方が明らかに前編という感じで「真珠のボタン」が後編だったので順番変えなくてもいいと思いましたよ。

地球上で最も空、宇宙に近いと言われるチリのアタカマ砂漠。そこには天文台がいくつもあり、いろいろな国から集まった天文学者が宇宙からのメッセージを読み解こうとしている。その一方、アタカマ砂漠は1万年以上前から人びとが行き交う交易路でもあり、今もミイラが発見されたり、壁画が見つかったりする。またアタカマ砂漠には1973〜1991年、アメリカの支援を受けてチリで独裁政治を敷いたピノチェト政権による強制収容所跡もあり、今もそこで愛する者の遺骨を探す女性たちもいる。宇宙、古代、近い過去といった複層的な出来事を美しい映像とともに綴る。

というわけで、宇宙の美しい映像を見ていたかと思うと足元に視線が行き、そこには天文台とともに数千年前のミイラや遺跡があり、つい30年前の遺体もあったりします。その自由さがおもしろそうだなぁと思って行ったら、これが大ヒット。自在に宇宙と過去を行き来する眼差しにすっかり惚れてしまいました、パトリシオ=グスマン監督v

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