忍者ブログ

されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ハトよ天まで

手塚治虫著。中央公論社刊。全1巻。

アビルと黒主という妖怪の領土争いに巻き込まれた二人の兄弟がいがみ合ったりしながら、最後には故郷を取り戻す民話調の話、と見せかけておいて、いがみ合う二人の兄弟にいいようにこき使われた挙げ句、最後は捨てられてしまう立田姫という蛇の妖怪の悲しい話。これほんと

わしも最初はそう思って読み始めたのですよ。第一部第一章なんて、もろにアビルと黒主の諍いのために、それに振り回される貧しい村人の話だったし。立田姫はそのアビルと黒主の領土、久呂岳と黒姫山の間にある竜が渕が住処だったんですが、二人の争いに巻き込まれた上、竜が渕も失ってしまいます。
一方、麓の村に住む又八という男にはおかめという妻と後にタカ丸、ハト丸と名づけられる兄弟がいましたが、暮らしをやり直そうと村を出ようにも働く当てがなく、人足募集の報せを知っても子連れお断りと言われたもので、思いあまった又八は子どもたち(この時点では赤ん坊)を捨てようとしますが、おかめがこれを察して子どもとともに家出、野犬に襲われたところをアセチレン・ランプ(後にゴン六という名前だと判明)にさらわれてしまいます。で、妻子を探しに出かけた又八は、アビルと黒主の諍いで生き埋めにされていた立田姫を助け出し、この恩がもとで立田姫は行方不明になったおかめに化けてタカ丸とハト丸を育てることになるのでした。もっとも又八はけっこうすぐに黒主に殺されちゃいまして、おかめならぬ立田姫は、竜が渕を取り戻すためにタカ丸とハト丸を鍛えるんですけど、そのうちに正体が蛇だとばれてしまいまして、家を出ます。しかし、何かあったら櫛の歯を折って投げろと言って櫛を残したから、さあ大変。その後、村に残ったハト丸によって、何かと呼びつけられる羽目になります。
立田姫を母と慕うタカ丸とハト丸は、母の住処だという竜が渕を取り戻そうとアビルに挑みますが、かなわずに退散、立田姫に助けられます。
しかし、これがもとでアビルは余計に村を苦しめるようになり、タカ丸とハト丸は村八分にされてしまいますが、アビルとの戦いで力のなさを思い知ったタカ丸は武者修行の旅に出ます。

とまあ、粗筋を書くと長いんで、ここでやめますけど、なにしろタカ丸とハト丸の兄弟、どっちにも魅力がなく、たびたび読むのを中断、だんだん立田姫の方に情が移りまして、しかも読んでいると、まぁ、こき使われるこき使われるで、立田姫が気の毒になり、タカ丸とハト丸がその分、魅力が失せ、かといって敵役のアビル(大蜘蛛)や黒主(テング)がいいかと言われるとこれも典型的なDV親父で駄目、脇役の佐佐木大二郎がいいかというと、これもいまいち、といった調子で、なにしろ男性の登場人物が軒並み魅力的じゃなくて、まともなのは犬を使う犬彦とタヌキのボタ松くらいでした。女性陣もタカ丸に惹かれつつ、結局、ハト丸と結婚した小鹿は嫁になってからの方がいまいちで、星姫は可愛らしかったけどタカ丸のせいで台無しになり、タカ丸と結婚した月の方は絵師の娘なのにえらい高飛車でこれも駄目、キツネのお萩はハト丸を裏切ったりしたこともあったけど、立田姫に呑み込まれた後でいい味方になって、ここら辺がいちばん良かったです。

あと、掲載誌がサンケイ新聞という今をときめく極右なせいか、絵物語調だったり漫画だったりと展開がばらばらというかまちまちで、これも読みにくさに拍車をかけてた感じでした。黒主がDV親父で、立田姫がどこまでもタカ丸とハト丸に尽くすのも掲載誌のせいじゃないかと邪推したくもなるってもんです、これだけつまらないと。

期待が大きかったせいか、いろいろとがっかりな話でした。

なので、佐佐木大二郎が実は逃亡してきた未来人だったというなぜかSFな落ちはぶっちゃけどうでもいいです。

拍手[0回]

PR

MIDWAY

星野之宣著。集英社刊。

「2001夜物語」や「ブルーホール」などでおなじみの星野之宣さんの自選短編集です。「宇宙編」ということで宇宙が舞台のSFが8編入ってます。
収録作品は「残像」「星の町」「豊饒の海」「悪魔の星」「鳥の歌いまは絶え」「惑星ファイオリ」「射手座のケンタウロス」「セス・アイボリーの21日」で、「豊饒の海」「悪魔の星」「鳥の歌いまは絶え」は「2001夜物語」に入っていたため、あとの五本が未読でした。

「射手座のケンタウロス」というのが醜悪な落ちで、「デビルマン」のカイムと合体したシレーヌを思い出したんですが、あれほど格好良くないのがまた…。

「惑星ファイオリ」は未読ですが「ベムハンター・ソード」シリーズの1作だそうで、こっちも興味あるのですが、宇宙船の端末っぽい相棒がどう見てもおっぱいにしか見えないんですが…。シリーズの話を読むとわかるんだっけ、これ…。

「星の町」は物悲しい終わりでしたが、マヤ文明などの現代の文化レベルで見ても高度な天文学の知識について、著者ならではの解読がなされていて、こういうSFのエッセンスがおもしろいです。

「悪魔の星」がこのなかではいちばん長いのですが、そういや、最近、冥王星の外側に別の惑星が発見されたというニュースを読んだんですが、まさか魔王星(ルシファー)なんて名付けやしないだろうな…。
反物質は、この後、「2001夜物語」の中では重要なポジションを締めていきます。その端緒となった話で、神父なんだけど科学者でもあるというラモンさんがけっこう良かったわい。

「2001夜物語」も再読するか…

拍手[0回]

クジラコンプレックス

石井敦・真田康弘著。東京書籍刊。

副題に「捕鯨裁判の勝者はだれか」とあります。タイトルの「コンプレックス」は、劣等感とよく訳される言葉ですが、本来の意味である複合体としてつけたと解説がありました。だから横文字使うなと言うのだ…

久々に朝鮮戦争から離れた本でしたが、副題のように捕鯨裁判について扱った本でありながら、日本が民主主義国家を標榜しながら、実は官僚制帝国主義だということを書いた本でもありました。

著者は現在の捕鯨論争が、感情的と言われてもおかしくない反捕鯨への反対で動いていることを国際司法裁判所で日本がオーストラリア・ニュージーランドに敗訴した捕鯨裁判を詳細に解説することで浮き彫りにさせていきます。
そして、その病理が官僚が「最も優秀で無謬の政策シンクタンクである」という建前のもとに動いている日本社会にあることを指摘して、民主主義を標榜する国家でありながら、という結論にいたっていくわけです。

日本が主張する「伝統的な捕鯨文化」は連続性がないこととか、目から鱗のドキュメントでした。

拍手[0回]

創造と神秘のサグラダ・ファミリア

監督:ステファン=ハウプト
見たところ:川崎市アートセンター・アルテリオ・シネマ
スイス、2015年

サグラダ・ファミリアを扱った映画だというんで喜び勇んで行ってきました。10年経ったら、もう一度行こうと思っていたのですが、10年以上経っちゃって、なかなか行けそうにありません。あの時、完成にはまだ一世紀以上かかると言われたサグラダ・ファミリアが最先端の建築技術とかを使うことで2016年に完成予定だそうですが、予告ではさんざん強調されてましたが、本編には、そんなことは1回も出てきませんでした。詐欺じゃん予告 (・A・)

しかも元来が石の建造物で、その複雑で大がかりな構造と、そもそも建築家のガウディがちゃんとした完成図を残さなかったので全体のプランも不明のまま進めてきたもので、最後の巨大な十字架は鉄筋コンクリート製だとか聞いていると、かなり不安になります。だいたいコンクリートって50年ぐらいしか耐久性ないじゃないですか。そんなに急がないでいいから、もっとガウディのやろうとしたことをゆっくりと完成させてほしいのになぁと思いました。

精神的には似たようなことだと言いたいのでしょうが、テーマ曲に使われているバッハの「ミサ曲ロ短調」を演奏するオーケストラの映像とその指揮者のコメントはまったく不要だと思いました。わしは純粋にサグラダ・ファミリアが見たかったんで。そんなもの写すなら、もっともっとサグラダ・ファミリアを写してほしかったですよ。でも監督の意向だからしょうがない。映画とはそういうものです。

2016年に完成予定というのは栄光のファサードでガウディが予定していた広場が、現在、建築反対派の建てたアパートとなってしまっていることなどから難しいんじゃないかと思いました。見に行ければいいですが、それまで生きていられるかは別問題(爆

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

朝鮮戦争 コレクション戦争と文学1

集英社刊。

というわけで「鴉の死」以外も読み終えたので軽く感想です。

収録作品は「眼」(張赫宙(チャン=ヒョクチェ))、「浮標」(北杜夫)、「無人地帯」(日野啓三)、「司書の死」(中野重治)、「黒地の絵」(松本清張)、「孫令監」(金達寿(キム=ダルス)、「痛恨街道」(下村千秋)、「上陸」(田中小実昌)、「車輪の音」(佐多稲子)、「架橋」(小林勝)、「壁の絵」(野呂邦暢)、「奇蹟の市」(佐木隆三)です。あと、詩と短歌と俳句も収録。

なんですが、正直、日本人作家の作品はいくつかの作品を除いて朝鮮戦争が背景になっていたり、登場人物が朝鮮戦争で傷ついたりしてはいますが、メイン・テーマではなく、あんまりおもしろくなかったです。
朝鮮人作家の方がテーマに沿っていたのではないかと思いまして、これは慌ててかき集めてみたけど、こんな数しか集まらなかったので、とりあえず全部入れましたという大人の事情が垣間見えた感じがしました。

あと、日本人作家のは、やっぱりいくつかの作品を除いて朝鮮戦争のそもそもの発端が日本による植民地化にあったという自覚あんのかおらな感じの話ばかりで、それもつまらなかったです。

なんというか、自分の私的体験というか、こんな特異なことがあったという印象にとどまっていて、同じシリーズの「日中戦争」もそうだったんですが日本人の作家は戦争をテーマに小説書けねぇのかなぁとか思った…。

拍手[0回]

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新CM

(06/14)
無題(返信済)
(05/29)
(04/27)
甘くない態度(返信済)
(04/26)
謹賀新年(返信済)
(01/04)

プロフィール

HN:
たきがは
HP:
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

かうんたあ

脱原発意思表示Webステッカー

バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン