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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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赦すこと

ジャック=デリダ著。守中高明訳。ポイエーシス叢書。未来社刊。

副題が「赦し得ぬものと時効にかかり得ぬもの」とあります。

哲学書なんですが、そもそもなんで、この本を読みたいと思ったのか、タイトルだけメモしてあったので、ちっともわかりません。ひどい。でも、ともかく読み始めたら、どうやらハンナ=アーレント関係か、ホロコーストがらみで興味を覚えたらしいんですけど、哲学書というのはわしのおつむにはとても難解でして、本文はほとんど言葉遊びといいますか、まぁ、遊びと言っちゃったらデリダさんに失礼だと思うんですが、でも、なにしろ意味が取れず、もう、根本的にわしが読むようなレベルの本じゃないと思ったんですけど、最後の訳者さんの解説のところでやっとこ腑に落ちまして、読んだわいと胸を張って言えるようなレベルでもないけれど、たとえホロコーストのことを書いている本を読んでいたって、敗戦後71年目の日本人としては、どうしてもナチスの同盟国であった日本に思考が向かざるを得ないわけでして、「とりわけ、戦後七〇年の大きな節目にあって日本がその植民地支配責任と戦争責任・戦後責任、そして両者に関わる夥しい国家犯罪について、どのようにしてこれをあらためて想起し、罪を認め、謝罪するかということは、厳密で新たな思考を要請する課題である。何よりも避けなければならないのは、この想起と罪の自覚と謝罪とが、あらかじめ和解を想定した目的論的なものとなること、さまざまな利害を反映しそれらを調整し最終的にみずからの国益に資するように計算された政治の手段に堕すことである。戦後ヨーロッパにおいて行なわれた事例を批判的に考察しつつデリダが言ったように、赦しが和解という目的=終結をプログラムされたものである場合、その赦しは純粋ではない。それと同様に、謝罪もまた、どのようなものであれなんらかの目的論的計算から発せられるとしたら、それは謝罪の名に値しない。謝罪の結果、相手が赦しを授けてくれるか否かは、あらかじめ想定すべきではなく、また本来的に想定できないことである。(中略)だから、この国の首相が朝鮮半島の人々、中国の人々、そしてかつて侵略し植民地支配下においたその他の東アジア各地域の人々に対して行なうべきなのは、赦しを想定しない謝罪、赦されることの可能性を考慮の外に置いた、エコノミー外の、絶対的謝罪である。これが現在の東アジアの中で日本という国家が取り得る、取るべき唯一の歴史的−倫理的行為である(にもかかわらず、法・倫理・歴史認識のすべてにおいて現代社会に生きる人間としての最低限の思考能力を欠いたこの国の首相は、『戦後七〇年の新たな談話』において、過去の国家犯罪を否認し、謝罪をせず、一般論としての『反省』だけを示し、『未来志向』などという意味内容がまったく不明のメッセージを発してこの重要な局面をやり過ごそうとしている。事態がもし本当にそのように推移したら、東アジア情勢がさらに深刻なものとなるのは必至である)」と長々と引用しましたけど、大いに同意して膝を打ちました。この本の発行は2015年7月なんで、事態は昨年末からさらに悪化しているわけですが。

知りたいことがあって、そのために本を読み続けているわけですが、次から次へと手繰る糸の先はどこへ繋がっているのか、まだまだ知らなければならないことが多いようです。

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東学農民戦争と日本

中塚明・井上勝生・朴孟洙共著。高文研刊。

副題に「もう一つの日清戦争」とあります。

朝鮮半島については、わしも知らないことばかりで恥じ入るばかりなんですが、そのために色々な本を読んでるんだと思ってるんで告白しちゃいますけど、日清戦争で最大の犠牲者を出したのは朝鮮人だったことは初めて知りました。すみません。あと、日清戦争が日本と清国の戦争だということぐらいは知ってましたが、そもそもの発端が日本軍が朝鮮の王宮を占領して、「清国が朝鮮の独立を阻害しているから日本は朝鮮の独立のために戦う」ことを大義名分にした、というのもわかってませんでした。とほほほ… わしの日本史と周辺諸国に関する知識は明治維新辺りから日中戦争ぐらいまですっ飛んでいるようで、それもまぁ、抜け穴だらけなんで、何とも情けない限りであります。

なので、この本のタイトルになった東学農民戦争というのはそもそも知らず、その思想が日本にはいまだ芽生えたこともない革命の思想であることも知らず、まぁ、知らないことばかりで読んでて恥ずかしい思いがしました。

わしは「坂の上の雲」というドラマをやった時に脊髄反射的に、その自画自賛の日本近代史を嫌い、第1回だけ見て、まともに見なかったんですが、その欺瞞性とか、後に日本が中国で大規模に起こす三光作戦のような大虐殺の萌芽が、そもそも東学農民戦争にあったこととか、目から鱗の朝鮮と日本史でした。

全然勉強足りないんだわ〜

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オリエント急行殺人事件

監督:シドニー=ルメット
原作:アガサ=クリスティ
出演:エルキュール=ポワロ(アルバート=フィニー)、ビアンキ(マーティン=バルサム)、ラチェット(リチャード=ウィドマーク)、秘書マクイーン(アンソニー=パーキンス)、執事ベドウズ(ジョン=ギールグッド)、アーバスノット大佐(ショーン=コネリー)、メアリー=デベナム(ヴァネッサ=レッドグレイブ)、ドラゴミノフ公爵夫人(ウェンディ=ヒラー)、そのメイド・シュミット(レイチェル=ロバーツ)、ハバード夫人(ローレン=バコール)、グレタ=オルソン(イングリッド=バーグマン)、アンドレニイ伯爵(マイケル=ヨーク)、その妻・エレナ(ジャクリーン=ビセット)、ハードマン(コリン=ブレイクリー)、フォスカレリ(デニス=クイリー)、車掌ピエール(ジャン・ピエール=カッセル)、コンスタンティン医師(ジョージ=クールリス)、ほか
見たところ:シネプレックス平塚
イギリス、1974年

「新・午前十時の映画祭」の1作品です。過去にテレビで見たことがあったんですが、せっかく映画館で見られるので行ってきました。この時代までの映画にはそういうパワーがあったなぁ…

1930年のアメリカ。富豪アームストロング家の娘デイジーが誘拐され、死体で発見されるという事件があった。それから5年後、イスタンブール発ロンドン行きのオリエント急行に乗車した名探偵エルキュール=ポワロは、アメリカ人の富豪ラチェットが「殺す」と脅迫されているのでボディガードを依頼されるが、ラチェットの性格が気に入らないので断る。しかし、ベオグラードを発った列車はその夜、大雪のために停車することになり、朝になるとラチェットも殺されていた。人里離れた郊外で外は大雪のため、犯人が逃亡した気配はない。犯人はポワロと同じ車両に乗っているのだ…。

オープニングのアームストロング家の幼女誘拐殺人事件とオリエント急行で行われた殺人事件以外は徹頭徹尾明るい雰囲気の映画で、とても人が殺された、しかも10ヶ所以上も刺されて殺された事件があったとは思えないような感じですが、これはオールスターキャストのため、敢えて陽気さを心がけて撮られたそうです。まあ、公開当時は怒っちゃった観客もいたそうですが、なにしろ明るいです。ラストなんか、犯人たちが乾杯しあってるし、もう悪人やっつけてめでたしめでたしって勧善懲悪っぽい終わり方です。
これは、クリスティの原作が今風に「なぜデイジー=アームストロングは殺されたのか」というのを追求するような社会派的なものではなくて、エルキュール=ポワロの活躍を描くという意図があるからなのかなぁと思いましたが、そこは深読みしすぎかもしれません(原作の着想は飛行家リンドバーグの愛児誘拐殺人事件による。「翼よ! あれが巴里の灯だ」の方)。

落ちはわかってるんで、そこに至るまでの流れ、ポワロの推理や乗客たちへの尋問、個々の乗客たちの個性とかを楽しみました。イングリッド=バーグマンは「ガス燈」を彷彿とさせる思い詰めちゃう感じの演技が良かったのですが、「カサブランカ」とか「誰がために鐘は鳴る」を見た後だと誰だかわからなかったな昔は… ローレン=バコールさんは「ラスト・シューティスト」のしっとりした演技じゃなくて、やたらに陽気で浮かれた感じでしたが、それもこれも娘と孫娘を失った裏返しかと思うとまた味わい深く… ショーン=コネリーが出てたのは知らなかったけど若い頃は粗野な感じだなとか、ポワロの嫌らしさが強調されまくってるなぁとか、期待どおりにおもしろい映画でした。

ポワロ物はあと「ナイル殺人事件」を見たぐらいです。たきがはは面食いなのでホームズ派なのですよ。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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秋日和

監督:小津安二郎
原作:里見弴
出演:三輪秋子(原節子)、三輪アヤ子(司葉子)、佐々木百合子(岡田茉莉子)、間宮(佐分利信)、田口(中村伸郎)、平山(北竜二)、後藤(佐田啓二)、間宮の妻(沢村貞子)、田口の妻(三宅邦子)、三輪周吉(笠智衆)、ほか
日本、1960年

原節子さんの最後の小津映画です。3馬鹿親父のセクハラっぷりが正直コメディにしてはきつく、不愉快な気持ちで鑑賞してました。

悪友の三輪の七回忌で集まった間宮、田口、平山の三人は、三輪の娘、アヤ子が24歳になったことを知り、いい縁談を紹介しようとするが、アヤ子は一人残される母、秋子の身を案じて、なかなか首を縦に振らない。間宮の部下、後藤といい仲になるも、「好きと結婚は別」と言い張るアヤ子に業を煮やした三人は、アヤ子を結婚させるために秋子を再婚させることを考えるが、その相手はやもめとなった平山自身だった。アヤ子のため、一度は承諾する秋子だったが、アヤ子と母娘水入らずで出かけた旅行先で、再婚する意志がないことをアヤ子に伝える。アヤ子と後藤の結婚式は無事に済み、秋子は一人、家に帰る。そこを訪ねたアヤ子の親友、百合子は、秋子にたびたび訪れることを約束していくが、一人残された秋子は、満足そうに微笑むのだった。

というわけで、小津映画だといつもいつも結婚生活が不遇な原さん、今回は未亡人で、亡き夫の友人の一人と勝手に結婚させられそうになってます。しかも娘が母が一人だとなかなか結婚しないというんで、結びつけちゃえという強引な、今だったらセクハラ間違いなしな展開ですが、土壇場で断り、わしはあっぱれと手を打ちました。
というのも、間宮、田口、平山というのは、話から察するに学生時代から秋子の夫、三輪とつるんでいた仲で、間宮も田口も薬屋の娘だった秋子に入れあげちゃって、用もないのに薬を買いに通う毎日だったのに秋子は三輪と結婚しちゃったという設定があって、奥さんがいて、子どももいるという順風満帆な人生のくせに、今でも秋子に未練たらたらな連中だからなのでした。で、間宮と田口にはまだ奥さんがいるのですが、奥さんが先になくなったら、秋子と再婚すると奥さんに宣言しているという未練たらたらっぷりで、唯一、平山だけが男やもめなんですけど、これも秋子と結婚できるとなったら、俄然元気になっちゃうという親父で、結局、ドタキャンされちゃって、ざまみろと思ったからです。まあ、間宮や田口の奥さんも、できた女房で夫のそういう口癖とか、学生時代に薬屋に通って、必要もない風邪薬を買ったという話をあっけらかんとしているんですけど、わしは内心ではそうとうはらわたは煮えくりかえっているはずだと思うので、でも、そういう素振りを見せないところが男にどこまでも都合のいい妻像というのがいい加減で嫌になったのです。
まぁ、わしはアヤ子のように原さんに結婚するなと言いませんし、不潔だと思ったりもしませんが、何て言うんですか、本人の意志とは関係ないところでおもしろおかしく話を進める親父というのが自分たちも下心満々なだけに、嫌らしいと思ったのです。

麦秋」で戦死した次兄の友人と結婚したり、周りには言わないんだけれども本人の秘めたる思いというのをもっと尊重しろよと思ったわけなのです。

それだけにアヤ子の親友、百合子が秋子の縁談を勝手に進めようとして、それで母親にちゃんと真相を尋ねもしないでアヤ子がぶりぶり怒ってて、それを「子どもっぽい」と批判したら、さらにアヤ子に逆ギレさせて、親父たちに直談判に行っちゃうシーンというのは痛快でした。まぁ、そのわりには百合子もけっこう簡単になだめられちゃってましたけど。

原さんは、この後、東宝の30周年記念映画「忠臣蔵 花の巻・雪の巻」で大石内蔵助の妻、りく(夫は8代目松本幸四郎。助左のお父さんやった方)を最後に引退されてしまいます。もっともっと原さんの演技を見ていたかったなぁと思ってなりません。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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1年ぶりに更新しました

と言ってもメイン・コンテンツの方ではなくて、本当は去年あげておくはずだったんですが、1つ追加してアップしました… 駄目駄目だ俺… orz

印象に残った言葉 2016年版」を上げましたんで、ちょっと古いですが(去年読んでた「戦争と人間」とか入ってるし)、ご一読くだされ。

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