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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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サイト更新

印象に残った言葉 2016年版」に強制収容所からの帰還者マルティン=ニーメラー牧師の言葉を追加しました。

前からずーっと探してたんですけど、やっと見つけた。

今の日本で肝に銘じたい言葉です。深く深く…

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キリンヤガ

マイク=レズニック著。内田昌之訳。早川文庫刊。

絶滅に瀕したアフリカの種族キクユ族のために造られた小惑星のユートピア、キリンヤガ。その設立と維持に努めた祈祷師コリバを描いた連作シリーズ。

で、表紙にヒューゴー賞・ローカス賞受賞と書いてありましたが正直、おもしろくなかったです。

作者はアメリカ人なのです。そのアメリカ人がアフリカ(主にケニアに在住)の原住民がヨーロッパ風の暮らしに嫌気がさして伝統的な生活に戻るべくユートピアを築こうとするという話というのは、日本でもよくありますが、田舎の暮らしを理想化する都会人まんまです。

なので、この世界では男しか祈祷師になれないし、女はあくまでも男に仕えて、畑仕事をやり、子どもを生み育て、家事もやりという伝統的な社会ですが、それは男、特にただ一人の知恵者である祈祷師にとってのユートピアでしかないのです。

だから、第2話「空にふれた少女」で聡明すぎた少女カマリは死を選ぶしかできず、コリバの弟子となった勇敢な少年ンデミはコンピュータに触れることで文明を知り、キクユ族の暮らし以外のものがあることを知ってしまうことで最終的にはユートピアを離れざるを得ないわけです。

つまり、この世界では人は考えることはしますが、その考えは決して祈祷師より優れているとは認められず、いまでもアフリカや中東などで行われている女性への割礼(性器の切除)は文明的には悪影響の方が強いと言われているにもかかわらず、割礼を行っていない女性は成人とは認められないわけです。

どうなのよ、それ。

また祈祷師がンガイという神に祈って雨を降らせるという行為も、実際には小惑星を運営する保全局に依頼していますし、コリバ自身はエール大学ともう1つ大学を卒業してます。つまり、先進文明の恩恵は多分に被ったけど、伝統的なキクユ族の暮らしに戻りたいという人間なんだよね。だからキリンヤガに暮らすキクユ族に対して嘘八百(と本人は思ってない)の迷信とかで騙すというか脅すというか。どっちもやるんですが。

最終的にコリバは祈祷師ではいられなくなって(医療面ではどうしても遅れてるわけなので)自らキリンヤガを離れますが、そんなものは最初からなかったのだと思います。

それでも作者は、大型の野生動物が絶滅した(ライオンやゾウはいませんし、そもそも本物のキリンヤガ=ケニア山は開発が進みまくって山頂付近までコンクリートで覆われてたりする)世界で、クローニングされたゾウとともにコリバを文明世界から離れさせます。

そういう結末しかなかったんだろうな。ただ田舎の生活を理想化した感じの話には反吐が出る思いでしたよ。

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共喰い

監督:青山真治
原作:田中慎弥
出演:遠馬(菅田将暉)、千種(木下美咲)、琴子(篠原友希子)、円(光石研)、仁子(田中裕子)、刑事(岸部一徳)、アパートの女(宍倉暁子)、ほか
日本、2013年

劇場公開の時に興味があったんですが見損ねまして、ケーブルでかかってたのを見ました。田中裕子さん、好きなんすよ。向田邦子のTVシリーズとか、「天城越え」とか「その人の名を知らず」とか。この人だけの存在感を持った女優さんです。

昭和63年夏。17歳の遠馬は父とその愛人、琴子と暮らしていて、1つ年上の恋人、千種がいる。父の円は性交のたびに相手を殴りつけるという悪癖があり、母の仁子はそのために逃げ出していたが同じ町内の港で魚屋を営んでいた。空襲で左手を失った母は、特製の義手で魚をさばくのだ。遠馬は千種とセックスをするたびに、自分のなかに流れる父の血が、いつか千種を殴りつけるのではないかと脅えていた…。

冒頭で「17歳の時に父が死んだ」と言ってるので、そこに至るまでの話が遠馬を狂言回しに綴られます。ただ、映画のラストで「母の話」と英文で書いてあったので、主役は仁子さんのようです。助演女優賞を受賞したらしいですが。

仁子という人は、粗筋にも書いたように空襲で片手を失った人で、円と結婚する時に円の母に反対されて、その口に手首を突っ込んだという、激しい一面を持ってます。田中裕子さんが演じる女性には、そういう激しさと、どこか柳のように風と受け流すしなやかな強さを持ってるように思えることが多いです。

夫のことも「自分が殺しておけば良かった」とか言っちゃうし、遠馬のあとに身ごもっていたという子どもも「掻き出した」という露骨な表現で堕胎したことを語っちゃうし、でも、鰻釣りにやってくる遠馬をもてなすのにいつもコーラとか(だから遠馬が「コーラは飽きた」と言う)、不器用さも同居してます。

遠馬役の菅田将暉くんは「そこのみにて光輝く」の拓次役が印象的でしたが、映画のデビューは「仮面ライダー」だそうです。へぇ

やっぱり田中裕子さんはいいなぁと思った映画でした。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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素晴らしき日曜日

監督:黒澤明
出演:雄造(沼崎勲)、昌子(中北千枝子)、ほか
日本、1947年

我が青春に悔なし」と「酔いどれ天使」のあいだに撮った小品でしょうか。何といっても三船以前の黒澤映画とはいえ、スター俳優が出てません。それだけに市井の貧しい恋人たちの日曜日がよりリアルに見えるのですが、わしの好みとしては地味なんで、一回見たらもういいかなぁ。

貧しい恋人同士の雄造と昌子。日曜日にデートするもお互いの所持金が合わせて35円しかない。貧しいために結婚することもままならない二人は、それでも昌子の提案で住宅展示場を訪れるが10万円の一軒家は二人には高嶺の花だ。安そうなアパートも条件が悪く、二人の給料を合わせても払えそうにない。雄造は子どもたちの草野球に混じり、動物園に向かう。そこに雨が降ってきた。もう帰ろうと言い出す雄造に昌子は未完成交響曲のコンサートを聴きに行こうという。しかし、安い席のチケットは目の前でダフ屋に買われてしまい、雄造はダフ屋に文句を言うが、逆に袋だたきに遭わされる。雄造のアパートに行った二人だが、このまま別れたくないと言う昌子に雄造はつれない。いったん帰ろうとした昌子だったが、戻ってきて、意を決したようにコートを脱ごうとし、号泣してしまう。雄造は昌子を優しく慰めるのだった。仲直りした二人は喫茶店に行き、自分たちで将来、良心的な喫茶店をやろうと語り合う。その時、雄造は野外音楽堂に向かい、昌子に未完成交響曲を聴かせてやろうとするが、逆に冷たい風に意気消沈してしまう。昌子は観客に向かい、拍手してくれるよう訴え、ようやく雄造もタクトを振ることができるのだった。

という、99%くらいはどこが「素晴らしき」なんだというくらい、何をやってもうまくいかないカップルが描かれまして、最後、幻のコンサートで、ようやく明日に希望をつないで、「また次の日曜日にね」と言って別れます。

Wiki見たら、35円というのは現代の3500円くらいだそうで、確かにそれは貧乏だわ… ただ、コンサートが安い席でも10円で見られるのは今の6000円とかふんだくってるのと比べたら、えらい良心的にも見えました。
動物園はたぶん上野で、入場料は1円くらいでしょう。
二人が喫茶店の夢を語り合うのは、その直前にミルクコーヒー+お菓子で30円もふんだくられた(でも金がないので雄造がコートを置いていった)からです。えらい高いなぁ…

最後、昌子が「拍手してください」と訴えるのは映画を見ている観客に対してで、実験的な演出だったらしいんですが、似たようなのは見たことないなぁ。

ちなみに公開は夏だそうですが、話は2月6日(とコンサートのポスターに書いてある)なので、季節感とか台無しですな。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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金門島流離譚

船戸与一著。毎日新聞社刊。

標題の「金門島流離譚」と「瑞芳霧雨情話」の中編2作を収めた本です。どちらも舞台は台湾ですが、金門島は厦門に近い孤島、瑞芳鎮は台北から離れた田舎となってまして、世界の辺境を舞台に小説を書かれてきた船戸さんらしく、近現代史への切り込み方が鋭いです。

話の展開は晩年の作らしく、どちらもすっきりとしない終わり方なのですが、なにしろ読み慣れた船戸小説なもんで、するすると読めました。
これは船戸さんの小説は主役(基本的に日本人。訳ありで日本を出ていることが多い)、そのパートナー、協力者、敵対者、害する者、未確認といった配置がわかりやすいというか、独特のパターンを覚えちゃったからではないかと思うのですが、わしも、あんまりこの手のハードボイルドというか冒険物は読まないので(ドキュメンタリー除く)、比較したことがないからよくわかりません。

「金門島流離譚」
厦門の対岸に浮かぶ金門島。そこは一応、台湾領となっているが政治的な事情などで一種の無法地帯に近い。金門島でコピー品を商う日本人、藤堂義春。心の底に離人症を抱え、妻子を日本に置いて10年、藤堂の借りるホテルの隣室に、不可思議なカップルが現れたことで、藤堂は抗うことのできない運命の歯車に巻き込まれていく。

「瑞芳霧雨情話」
同じ台湾大学の大学生、梅宮俊夫と汪成美は婚約者同士、卒業論文に日本占領時代の金鉱のことを調べていて、九份というひなびた町にやってきた。そこに住む呉興福という老人と知り合い、取材をするが、呉は近くの町の悪徳不動産業者から土地を売るよう迫られており、二人はその騒動に巻き込まれていく。

どっちも「巻き込まれ」系ですが、「金門島」の方は主人公が訳ありで、だから日本の家族のもとに帰っていない、でも、事件に巻き込まれることで過去に犯した罪に追い着かれてしまうという話になりますが、「瑞芳」の方は主人公は無垢な大学生で、「緑の底の底」と似た展開ですが、最後は凄惨な復讐譚になるので、「緑」のようなすかっとした読後感はありません。

Wikiで調べてみたんですが「ゴルゴ」の原作を除くと未読の分もあと3冊となってしまいまして、寂しいかぎりです。

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