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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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ファラオの墓

竹宮惠子著。中公文庫コミック版。全4巻。

古代エジプトを舞台に亡国エステーリアの美貌の王子サリオキスが、砂漠の鷹と呼ばれる英雄となり、宿敵ウルジナの王スネフェルと戦う冒険活劇ロマン。

「風と木の詩」で人気を不動のものにする以前の作なんですが、少年漫画顔負けのきつい展開に、文庫で全4巻と短いとはいえ、「天馬の血族」や「地球(テラ)へ…」にも見られた活劇の萌芽がすでに見られるのがすごいところです。

登場人物も主人公サリオキスを中心に、宿敵スネフェル、大男イザイ、忠臣ベヌ=ティト、妹ナイルキア、ヒロイン・アウラ=メサ姫、もう一人のヒロイン・アンケスエン、悪役ケス宰相、裏切り者サライなどなど、軟派から硬派、美女に美少女と色とりどりを揃えたのも著者のサービス精神の賜物かと思っちゃうぐらいに多彩です。
わしの好みとしては顔に傷があり、ごついながら、イザイのポジションなんか好きだったりするんですが、読んでいる時にいちばんドキドキしたのは、悲恋に終わってしまうスネフェルとナイルキアの展開で、作者がお気に入りだというスネフェルは、暴君から王、また狂王といったドラマチックな展開を見せまして、絶対に崩れない路線を貫いた薄幸の主人公に比べるとおもしろかったです。
あとスネフェルの婚約者でありながら、誰とも結ばれないアンケスエンが、作者お得意の知的な美少女という感じも良かったですな。

連載当初は「エステーリア戦記」なるものが公立の図書館からも問い合わせられたという今では考えられないブームも、読者の熱狂ぶりと作者の筋立てのうまさ、リアルさもうかがえて愉快なエピソード。

アニメ化とかされてませんが、舞台化ぐらいはされたのかもしれませんが、やはり、竹宮惠子おそるべしの傑作ロマンです。

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わが指のオーケストラ 第3巻

山本おさむ著。秋田書店刊。全3巻。

高橋先生の結婚と亡くなるまでを描きます。

高橋潔先生は口話法万能の時代にあって、ただ1校、手話を守り続けた大阪市立聾唖学校の校長なので、その戦いにも重点が置かれまして、話は多岐にわたります。特にヘレン=ケラー女史が登場するあたりなんか時代を感じます。

第2巻ほどの劇的な展開はありませんが、聾唖教育に人生を捧げられた高橋先生と、その歴史を知るには格好の書、静かな感動で占める第3巻で完結です。

かくなる上は、ほかの山本さんの著作も読みたいもんじゃのぅ…

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わが指のオーケストラ 第2巻

山本おさむ著。秋田書店刊。全3巻。

号泣必須の第2巻です。

2年生になった一作と、その担任になった高橋先生。
しかし時代はシベリア出兵、米騒動ときな臭い方向へ進んでいきます。
一作が仲良くなった松江(後の嫁)は両親ともに聾唖で、姉だけが健常者で工場勤務ですが、生活は困窮しており、一作からお昼ご飯のふかし芋をもらって食べてます。一作は母が実家を出、学校で働けることになったので(前巻で)、ともに寮暮らしです。
世界が広がっていく一作は、ふとしたことから富農の息子、山田くんから米を強奪する高等科の川田くんと知り合います。川田くんの仲介でやはり高等科の清水千代ちゃんを知る一作ですが、両親がともに聾唖の千代ちゃんは、馬小屋の2階で暮らしていました。
わしがやられたのは、この千代ちゃんと、手話を知らず、子どもの頃から家族に馬車馬同然に働かされてきたお父さんとのエピソードです。
米騒動で困窮する千代ちゃん一家。しかも母親が妊娠中のため、口減らしと金を稼ぐために学校を辞めなければならなくなってしまう千代ちゃん。そして苦しいなか、母親は出産しますが、出稼ぎに行かされる千代の身を案じて、高橋先生に訴えます。ここらへんから山本おさむ節の真骨頂でじわじわと泣かされるのですが、千代ちゃんが学校を退校になり、父親と挨拶に来まして、担任だった平塚先生が千代ちゃんについて語るわけですよ。もう、ここらへんから涙で読めない展開。
千代ちゃんは7時頃に登校してきた平塚先生より早く学校に来てました。どんなに早く来ても千代ちゃんのが早いのです。とうとう暗いうちに起き出した先生、その日は朝から雨でした。そこに現れる千代ちゃんと父親。幼い千代ちゃんを天秤に乗せてきた父親は、それまでは苦悩の表情しか見せていませんでしたが、千代ちゃんに微笑みかけてました。千代ちゃんちを訪ねた平塚先生はその事情を知ります。
千代ちゃんの両親は千代ちゃん(おそらく長女。下に弟妹が3人ほど)をなんとしても学校にやりたかった。兄夫婦に頼んで学費を出してもらいましたが、その代わり、父親の仕事は倍に増えました。父親は、暗いうちから起き出して、千代ちゃんを学校に送り届け、日の出とともに働きに出なければならなかったのです。千代ちゃんが自力で通えるようになるまで3年、父親は雨の日も晴れの日も千代ちゃんを学校に送り届けました。
だから平塚先生は言うのです。

「どんなに無念だったでしょう…
そうやって通った学校を辞めなければならない あの2人は…
あの2人の胸には…
どんな言葉が…」

だから千代ちゃんが学校を辞める時に「辞めたくない」と言って柱にしがみついたのです。その千代ちゃんを泣きながらたたいた父親。手話もできず、簡単な、野良作業で使われる言葉しか知らないという父親の無念さ。その、言葉にできない思いに、ただただ涙があふれてしまうのでした。

その千代ちゃんを駅まで見送りに行った平塚先生は櫛を渡しました。それは、先生と千代ちゃんを結ぶ思い出の品でもあったのです。

そして、千代ちゃんを見送る川田くん。2人と一緒に涙涙です。

この後、展開が急に速まって、口話法の西川親子の話とか入りますが、一作は高橋先生から教師を打診され、東京の師範学校に行くことになります。
また、一作と松江がいいムードになってますが、結婚は次巻までお預けです。川田くんと千代ちゃんは一作から結婚したことが知らされます。

さらに関東大震災で大杉栄夫妻や、朝鮮人が大勢殺されたことは有名ですが、聾唖者も殺されたという話が避難してきた一作の体験として語られます。

その一方で西川親子のエピソードも大きく割かれ、高橋先生は口話法の流れに抗うことになります。

口話法に翻弄される子どもたちのエピソードで次巻へ続きます。

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わが指のオーケストラ 第1巻

山本おさむ著。秋田書店刊。全3巻。

たきがはの号泣必須漫画です。著者は「遥かなる甲子園」と同じ山本おさむさん。「遥かなる甲子園」の次に描かれた作です。この話を読む前にアニメ映画化された「どんぐりの家」も見たんですが、あれもいい話じゃった…

友人がtwitterでこの本について言及しているのを見たたきがはは、著者が山本おさむさんだったので興味を持ちまして、翌日、新刊の文庫を大人(げない)買い。その時は完結していたかどうか定かではありませんが、第2巻で号泣しまくったのでした。

聾者の教育に一生を捧げた高橋潔さんを描いた本作。第1巻は高橋さんが大阪市立盲唖学校の教師となり、子どもたちに「安寿と厨子王」の絵本を手話で聞かせるまでです。
第1話で高橋さんの最初の教え子とも言える聾児、戸田一作が登場、彼は話が進むに従って成長していきまして、第3巻では教師になんかなっちゃったりしてます。この一作とのふれあいが第1巻では主軸に置かれており、理解のない親戚に囲まれ、まるで獣のようだった一作が、高橋先生と出会うことにより、言葉を知り、人とふれあい、という流れが、唯一の理解者である母親との葛藤とかなんかも交えて感動的に描かれます。1巻の泣きポイントは一作母子のふれあいでしょう。
ただ、これぐらいはすでに「遥かなる甲子園」で体験済みのすれた読者のわしは、第2巻でがつんとやられてしまうのですが、以下、続刊とします。

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正雪記

山本周五郎著。新潮文庫刊。

由比正雪の反乱に題材をとった歴史小説です。「樅ノ木は残った」と似た感じですが、あちらがわりと原田甲斐を中心に描いていたのに対し、由比正雪の周辺の人びとも描かれた群像劇な印象です。それも由比正雪の門下生に限らず、正雪と将来を誓い合った女性、はんとか、はんに思いを寄せる男性とか出てきて、さらに由比正雪の反乱自体が幕府によるでっち上げだったという結末は、解説にも書いてありましたが、幸徳秋水らの大逆事件なんかを連想させるのでした。

なので、わし的には大逆事件を思い描きながら、この小説を書いたという点が大事なので、結末も、正雪の考えも、いささかすっきりしませんし、ヒロインのはんに至っては理想的に描かれすぎなんじゃないかと思ったりもしましたが、これはこれでいいなと思いました。

実在の人物を描いた小説だと、ほかに「栄花物語」とかありますが、今度は短編を読む予定。

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