忍者ブログ

されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

栄花物語

山本周五郎著。新潮文庫刊。

傑作「樅ノ木は残った」の前年に書かれた田沼意次の政治改革を中心に据えた意欲作です。

江戸時代中期、将軍・家治の時代。老中の田沼意次・意知親子が商業資本の擡頭を見通して幕府の改革を志した政治家であったという視点で、旗本の青山信二郎と河井(後に藤代)保之助を狂言回しに描く。

「樅ノ木は残った」で仙台藩の原田甲斐を忠臣と描いたように、ここでは賄賂政治の代名詞のような存在である田沼意次が実は先見性を持った政治家でありながら、松平定信のような侍のプライドにこだわる頑迷固陋な政治屋に邪魔をされてしまったという逆転の描き方です。

ただ、わりと原田甲斐が主役に落ち着いた「樅ノ木は残った」に比べると田沼親子を主役に据えてというよりも信二郎と保之助の視線で描くことが多く、意次自身の心情も描かれますが、メインではなかったりするのが「樅ノ木は残った」とはっきり異なるところです。
信二郎は柳に風を地でいくような人物で最後まで生き残りますが、保之助は花魁と心中してしまいます。そこら辺の男女の情のからみの描き方がわりとねっとりした感じでした。

昔の新潮文庫というのは表紙が花鳥画の上に1色と地味だったんですが、そこが市井の人びとを描き、英雄には目もくれなかった周五郎さんらしくていいと思ってたんですが、新しい版になると安っぽい装画がカバーになってて品が堕ちたなぁと思いました。メディアミックスの先駆者・角川なんかになると映画とかドラマの写真が使われてて、また安っぽかったり…。
あと、文字がえらくでかくなって、個人的には読みづらい…。

拍手[0回]

PR

わが青春に悔なし

監督:黒澤明
出演:八木原幸枝(原節子)、野毛隆吉(藤田進)、八木原教授(大河内伝次郎)、八木原夫人(三好栄子)、野毛の母(杉村春子)、野毛の父(高堂国典)、糸川(河野秋武)、毒いちご(志村喬)、筥崎教授(清水将夫)、ほか
見たところ:うち

BDに撮っておいたのをやっと見たぜ〜! わしの好きな黒澤映画5本に入る1作(ほかは「白痴」「七人の侍」「生きる」「赤ひげ」)です。なにしろ、我が永遠のヒロイン、日本映画史上、最高の美人・原節子さんを、これでもか〜!と汚した脚本があっぱれだ。藤田進さんの硬い表情も役柄生きてるし、久しぶりに見直したら、青臭さもあるんだけど、黒澤監督も5作目と若いので、言いたいことがストレートに出たんだなと思いました。

昭和8年、京都。法学部の八木原教授のもと、学生生活していた野毛や糸川、八木原の娘・幸枝たちであったが、八木原教授への弾圧により、学生運動に身を投じた野毛は、日本が戦争へ傾いていくなか、その戦争を食い止めるために戦うようになっていった。燃えるような生き方を求めて親元から独立した幸枝は、東京で再会した野毛の隠れた運動を知り、彼とともに生きたいと願う。しかし昭和16年、ついに野毛は捕らえられ、幸枝もその妻として留置され、そのあいだに日米開戦を知る。娘のために野毛の釈放を願う八木原教授だったが、野毛はすでに死亡しており、幸枝は野毛の遺骨を故郷へ届ける。しかし、野毛の両親はスパイの親として村中で孤立しており、絶望した父はいろりの前から動かず、母も夜、人目を盗んで農作業に従事していた。幸枝は野毛の家に残り、農作業を手伝うが、持ち前の負けん気の強さで日中でも働きに出、母とともに田んぼを起こす。ところがやっと田植えを終えたところで幸枝は倒れてしまい、母から田んぼがめちゃめちゃにされたことを聞く。幸枝は田んぼに行き、苗を植え直そうとし、ようやく父も立ち上がる。戦後、八木原教授は大学に戻るが、幸枝は野毛の故郷に居続け、農村の婦人たちを啓蒙する運動に携わるのだった。

相変わらず、あらすじを短くまとめるのが下手ですな。てへ

事件のモデルは「京大事件」と「ゾルゲ事件」だそうです。

戦争をやってはいけない(日中戦争はやっていたわけですけど)と、自己の信念に基づいて行動する野毛と、彼を愛する幸枝。その生活はわずか半年足らずのものでしたが、彼女は野毛の信念と、父の言葉に従い、野毛の故郷に行きます。野毛が見せてくれた両親のもとに、野毛の遺骨を届けるために。スパイの親と誹られる2人と暮らすために。
ここら辺の展開が台詞も少なに綴られるのが個人的には好きなのです。全体的に説明調の台詞少ないしな。新聞の記事でばば〜んと見せられるために、そんな必要もないけどな。

キャストを見ていたら、相変わらずの黒澤組の出演で嬉しい限り。常連さんで出ていないのは藤原釜足さんとか左卜全さんとかがいないくらいか? 「七人の侍」で村の長老(「腹減らした侍雇うだ」と言ったじさま)をやった高堂国典さんを見た時には「うっひゃ〜!」と歓声ものだったね。しかも、ほとんど座ってるお父ちゃんですからな。裏のテーマは「女は強し」だなと初見から言ってるんだけどね。志村喬さんもお若いわ〜 勘兵衛なんか枯れてますからなぁ。でもそこがいい!

あとはなんといっても原節子さんの美しさですよ。前半の無邪気なお嬢様のあたりが、この方の真骨頂なんでしょうけど、野毛に去られて糸川に「そこに跪いて謝ってちょうだい」と無理難題を突きつけつつ、実際にやられるとむっとする表情とか、見ててたまりません。演技ってね、見せるだけじゃなくて、こうして表情によってわからせるのがプロなんだよとか、もう、勉強してもらいたいよね。女王然として高貴さと残酷さ、野毛に見せる素直さ、後半の土と泥まみれになっても「およしなさい」と言う姿勢の美しさとか、不世出の女優さんだな〜

「虎の尾を踏む男たち」では、全然、何を言ってるんだか、半分も聞き取れなかった大河内伝次郎さんの台詞がちゃんと聞こえたのは、現代劇だったからなんだろうか…?(←失礼)

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

サンダーアーム

監督:ジャッキー=チェン
出演:ジャッキー(ジャッキー=チェン)、アラン(アラン=タム)、ローラ(ロザムンド=クワン)、メイ(ローラ=フォルネル)、伯爵(ボジダール=スミルジャニック)、ほか
香港、1986年

原題は「龍兄虎弟」なんですが、どうして邦題が「サンダーアーム」なのか関連が不明です…。

ジャッキーもアランも役名と実名が同じですが、どういう意図があったのか…。

ダブルヒロインのローラ役のロザムンド=クワンさんは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズでヒロインでしたが、気づかず…。見たことがある顔だとは思ったんですが。

数千年前、正義の神との戦いで世界中に散逸した5つの神器を集めようと企む邪教集団。彼らはアジアの鷹ことジャッキーが聖剣を手に入れてオークションで売ったことを知り、彼の思い人ローラを誘拐させてジャッキーに3つの神器を持ってこさせようとする。3つの神器を持つ伯爵の娘メイの助けもあり、ローラを取り返したジャッキーと恋人のアランだったが、ローラは薬を打たれており、アランとともに神器を盗み出して教団に戻ってしまう…。

(なぜか)ヨーロッパが舞台(と作中で言っている)なのに、全員、広東語をしゃべる不思議映画。当然、敵役もヨーロッパ人ばかりのようで、伯爵も白人なんですが、ここは無国籍のお気楽アクションとして見た方がいいかもしれません。途中で金の単位をディナールって言ってたんで撮影はマケドニアっぽいですが。

ジャッキーのカンフーアクションに加え、カーチェイスも派手な今作。好評だったのか同じ主人公でシリーズが2本作られました。シリーズともに舞台が香港以外なのは、アクションスターとしてならしたジャッキーにはもはやアジアは狭かったのかもしれませんね。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

小説 日本婦道記

山本周五郎著。新潮文庫刊。

これで直木賞を受賞したけど辞退したという短編集です。

収録作はどれも武家にまつわる女性の話ですが、武家の女性だけでなく、武家に仕える女性の話も数本混じってます。

妻を失った夫が、妻の死によって初めて千石の家を支えてきた妻のつましい生活を知る「松の花」。
夫を失った妻が子を育てるなかで主君に収める矢をこしらえるようになり、その矢の鋭さが将軍の目に止まった「箭竹」。
短歌の道を究めようとする侍の妻が、移り気で何ひとつ習い事をものにしなかった姑にその理由を諭される「梅咲きぬ」。
夫に離縁された妻が、失明した姑に仕える「不断草」。
婚姻の席で夫の負傷を知った新妻がその経緯を知る「藪の陰」。
貧しさのために養女に出された娘が、長じて生家が栄え、引き取られそうになったのを断って、義理の父と弟の貧しい家に帰ってくる「糸車」。
若くして両親を失った女性が、妹2人を嫁がせ、妹たちの裕福さと夫の少ない禄に生き甲斐を見失いかけるも夫の言葉に思い直す「風鈴」。
尊皇攘夷が叫ばれるようになった時代に、妻の倹約ぶりに打たれる夫の「尾花川」。
師匠と頼む老婆を失った女性が、その思い出を綴る「桃の井戸」。
養女として引き取られた娘との生い立ちと別れ、その再会と彼女の思わぬ素性が語られる「墨丸」。
白痴のふりをしても、やもめとなった主君に23年も仕えた百姓の娘の「二十三年」。

といったラインナップでして、解説によると、周五郎さん的には女性にというより、世の男性に、「男というのは昔から女性にこれだけ尽くされ、支えられてきた(意訳)」というのを記すために書いたという、賢女忠女ばかりがつまった本です。
ただ、わしは、侍のそういうところは元来、あんまり好きじゃないし、江戸時代に産まれても侍の家にだけはなりたくないと思ってるんですが、周五郎さんの筆は、今の時代から見ると無理があるんじゃねぇのという尽くしっぷりも、柔らかく描かれて、概ね、ハッピーエンドだったりしまして、読後感は「無理ゲー」というのはありませんでした。むしろ、あまり自由でない時代に我が道を生きた女性たちの清々しささえありまして、傑作揃いと言ってもいいと思います。

拍手[0回]

尚衣院

監督:イ=ウォンソク
出演:チョ=ドルソク(ハン=ソッキュ)、イ=ゴンジン(コ=ス)、王(ユ=ヨンソク)、王妃(パク=シネ)、昭儀(シン=ソユル)、ほか
韓国、2014年

朝鮮の李王朝時代。王と王妃の服を作る尚衣院(サンウィウォン)を統治する御針匠(オチムジャン)チョ=ドルソクは30年の務めの甲斐あって、両班になることが決まっていた。その前に現れた仕立屋のイ=ゴンジンの才能をドルソクは無視できず、嫉妬しながらも交流を交わすようになる。しかしゴンジンの作った服が朝鮮中の流行になるにつれ、ドルソクは伝統を守ろうとする。先代の兄王の死により、王位に就いた現王は、先王に愛憎半ばする感情を抱いており、先王から賜った王妃にも手をつけようとしない。王妃の美しさに魅せられたゴンジンはその幸せを願うようになるが、王は狩り場で見初めた兵曺判書の娘、昭儀(ソイ)に心を移してゆく。清国の使節を迎える宴のためにドルソクは昭儀に服を作るよう命じられるが、ゴンジンは宴に招かれない王妃のために一世一代の服を作ろうとするが…。

王朝時代の朝鮮を舞台にした宮廷劇です。

ネタ的には「アマデウス」に似た感じがありまして、モーツァルト=ゴンジン、サリエリ=ドルソクな気持ちで見てました。特にハン=ソッキュさんは「ベルリンファイル」でもそうだったんですが、屈折した男性をやらせるとまぁお上手で、自分にはない才能を持つゴンジンを愛しつつも憎むというドルソクがはまり役でした。境遇的には孤児から先代の御針匠に拾われたドルソクと、妓生(キーセン)の服に代表されるような庶民向けの服を作ってきたゴンジンと似たところはあるんですけど、伝統でがちがちになったドルソクと、自由で何者にも縛られない分、天才的なデザインを見せるゴンジンという対比がまたおもしろく、それだけに2人が心を通わす中盤はなかなか和むんですけど、2人が対立するラストはなかなか辛いものがありました。

また、この2人の周囲に配された王や王妃というのが、ある意味ではドルソク以上に屈折した人びとでして、王は前王だった兄にさんざん権力を見せつけられたもので、自分のものが何もないと未だに思ってるし、王妃は王を愛しているのに、王に愛されないし、まぁ、ふつうの男と女ならばまだしも権力者というのはどうしてこう曲がりくねってしまうのかという点もなかなかでした。まぁ、王妃に「いつまで自分の物がないと思っているのか」とか言われちゃった王様は、最後まで変わらないんで、悪い意味でぶれないもんで、すねッ子に見えちゃうのが困りものなんですが。
ちょっと王妃が気の毒だったという。ただ、それにしてはせっかく終盤で念願かなって王様を迎えるのにゴンジン同席というのはあんまり配慮が足りなさすぎるだろうとか。

最後、ゴンジンの功績もドルソクが自分のものにしちゃったけれど、王の迎えをいつまでも待つ、でもたぶん来ないのを認められないドルソクというラストシーンまで良かったです。

ゴンジン役のコ=スさんは、「高地戦」でキム中尉だったんですが、覚えてなかったり… シン=ハギュンとイ=ジェフンは覚えてたんだけど…

王妃役のパク=シネさんは、どっかで見た顔だと思っていたんですが、「7番房の奇跡」のイェスン(大人)役でした… おっさんにばかり目がいっているからこうなるのだ…

王役のユ=ヨンソクさんは「オールド・ボーイ」に出てたようなんですが、あれはあんまりよく覚えていないのだ… 気持ち悪かったことしか。


拍手[0回]

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新CM

(06/14)
無題(返信済)
(05/29)
(04/27)
甘くない態度(返信済)
(04/26)
謹賀新年(返信済)
(01/04)

プロフィール

HN:
たきがは
HP:
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

かうんたあ

脱原発意思表示Webステッカー

バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン