監督:佐々部清
出演:梶聡一郎(寺尾聰)、梶啓子(原田美枝子)、志木警視(柴田恭兵)、佐瀬検察官(伊原剛志)、植村弁護士(國村俊)、藤林裁判官(吉岡秀隆)、記者・中尾(鶴田真由)、片桐編集長(田辺誠一)、高木医師(奈良岡朋子)、啓子の姉(樹木希林)、岩村刑事部長(石橋蓮司)、加賀美本部長(嶋田久作)、古賀刑務官(笹野高史)、小国検事正(西田敏行)、植村の妻(高島礼子)、藤林の父(井川比佐志)、辻内裁判長(本田博太郎)、ほか
原作:横山秀夫
日本、2004年
見たことがなかったんで見てみたシリーズ。ただし、寺尾聰よりもおとっつぁんの宇野重吉さんの方が俳優としては段違いに上だと思ってるので役者としては好きではないです。
群馬県警の警部・梶が2日前に妻を殺したと言って出頭してくる。志木警視が取り調べに当たることになるが、妻を殺してからの空白の2日間について梶は何も語ろうとしない。やがて目撃証言などから梶が新宿の歌舞伎町に行っていたことが知れるが、現職の警察官のスキャンダルに県警は真相の究明に及び腰だった。そのことを知った佐瀬検察官は梶を追究しようとするが、検察にも身内のスキャンダルがあり、上層部同士の取引で梶の謎の行動についてはうやむやにされてしまう。偶然、梶の歌舞伎町行きを知った新聞記者の中尾は、梶の義理の姉、妻の実姉や梶夫妻の息子の主治医だった高木医師などにインタビューを重ねることで、梶の息子が急性骨髄性白血病で亡くなり、夫婦がドナー登録をしたこと、ある新聞の投稿欄から梶の骨髄が移植された青年が歌舞伎町のラーメン屋で働いていることなどを突き止めていくが、裁判になっても梶はとうとう知らぬ存ぜぬで押し通してしまう。有罪の判決を受けた梶を乗せたワゴンが途中で止まった。刑務官の古賀は、志木の頼みで梶夫妻がまるで息子の生まれ変わりのように思っていた青年と窓越しに対面させたのである。彼は梶に「生きてください」と伝えるのだった。
というわけで粗筋全部書きました。梶の謎の行動から、実は骨髄の提供者を守りたかったという流れは個人的にはなかなか良かったです。特にその青年がラーメン店で働くシーンを見守る梶というエピソードは盛り上がりました。
ただ彼をマスコミの目から守るため、最後まで知らぬ存ぜぬで押し通すという流れは無理矢理感がありましたが、そこは藤林裁判官の蛇足的なアルツハイマーの父親のエピソードなんかも詰め込んで押し切った感じがしました。ちょっと詰め込みすぎっていう。あと吉岡秀隆の「いい人オーラ」は好きじゃない。本田博太郎さんが冷静で良かったけど、最初から検察と弁護士の出来レースな感じだからしょうがないな。
あと藤林の「俺はアルツハイマーでぼけた親父の面倒診てるんだから妻を殺しちゃった梶を責める」って感じのエピソードは、どう見ても奥さんにおんぶにだっこ過ぎるので、あんまり胸張るのもどうかと思った。まぁ、役に立ってないわけじゃないし、縛って一緒に寝てもいるけど、24時間のうち、半分以上は奥さんのおかげだよねと。そこら辺の、若造が正義感気取った感も嫌いでした。
わずか13年前の映画なのに柴田恭兵が
枯れてなくてびっくりだ。
あと國村隼さんもえらい若くて驚いた。昔のコネで弁護をもぎ取ったりとくせ者っぽいのに、中身はいい人なのも良かった。あ、國村さんがくせ者役で出演してた「哭声(コクソン)」見ないと…
嶋田久作さんとか石橋蓮司さんとか好きな俳優さんが出ていたのは良かったです。
樹木希林はあんまり好きな女優ではないのですが、終盤の泣きの演技はなかなかリアルで良かったです。
あと原田美枝子さんは「
帝都物語」の清純な役と「乱」の悪女役のギャップが素晴らしい女優さんで、相変わらず良かったです。「乱」はまだ真面目に見てませんが。
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